店長ブログ

虫展

出張でタイミングよく東京にいたので、KISHU+でお世話になっているデザイナーの吉泉さん(TAKT PROJECT)も参加されている「虫展」に行ってきました。

虫をデザインのお手本にするをコンセプトに、デザイナーさん達が「虫とデザイン」という視点で様々な作品を出していました。

普段どちらかというと苦手な「虫」という存在を、「デザイン」という切り口で演出されたこちらの展示会。漆器製造にしてもデザインや色味などは大変大事な要素ですので、虫展をただただ見るのではなく、漆器にどう活かすことができるか、という視点で覗いてきました。

「虫展って何?」

六本木にある21 DESIGN SIGHTにて現在行われている展示会で、「虫をデザインのお手本」にするをコンセプとに開催されるデザイナーの作品展です。

詳しくはこちらのHPへ!

その中で虫展の大きなテーマは上記webサイトに記載されているこちらです。

※自然を映し出す存在である、虫。私たちの身近にいながら、実はそのほとんどの生態はわかっていません。虫の色、質感、構造、また習性には、私たちの想像をはるかに超える未知の世界が広がっています。人類よりもずっと長い歴史のなかで進化を続けてきた多様な虫の姿からは、さまざまな創造の可能性が浮かび上がってきます。本展覧会は、知れば知るほど不思議な虫たちを「デザインのお手本」にする試みです。

会場内はまさに虫の持つ姿をお手本に様々なプロダクトや表現がなされていました。お付き合いのある吉泉さんがいなければ立ち寄ることもなかったかもしれませんので、こういった展示会もフラッと入るのもいいものだなと改めて実感しました。

「アメンボドーム」

KISHU+のデザイナーであるTAKT PROJECTの吉泉さんの作品で、水に浮くアメンボの構造でアメンボの数百倍も大きなドームを作られていました。大きなアメンボ型のドームですが、固定もされずに一定のバランスで水の上で浮いているままです。しかも水に浮きやすくするためにアメンボの脚の裏には毛が生えているらしく、こちらのアメンボドームも同じ構造で脚板の裏には小さい毛が生えていました。

吉泉さんが生み出すプロダクトって外見はもちろん、ちょっとした細部にも意味をもたせこだわりがあるところがいつも驚かされます。改めて凄い方とお仕事ができているなと感じます。

「小林真大(マオ)さん」

「ブレイクダンサー・蛾のフィールドワーカー」という肩書きだけで異彩を放っていますが、展示の中で小林真大さんという方の取り組みについての写真や動画が流れているスペースがありました。彼についてはググってもあまり情報が得られないのですが、21 DESIGN SIGHTwebサイトで虫展のディレクターの佐藤卓さんや監修の養老孟司さんが、彼に会いに行ったレポートを掲載しているので、展示会で得た情報とそちらのサイトから参考に抜粋させていただければと思います。

小林さんは現在ラオスの山奥「プークン」という村に一人住んでいます。ご家族の影響で「蛾」に魅了され、蛾の研究を始め、たどり着いた地がこのプークンという村なのだそうです。

なぜラオスか。いろいろ調べてみると、ラオスは蛾の聖地のようで、世界有数の蛾大国とのこと。日本全国に蝶々の種類は約240種類らしいのですが、ラオスの一部地域だけでも500種を超え、全土になると膨大な数らしく。。またラオスだけにしか生息しない種類もあり、それらは何十万円という価格で取引されていると。。

とまぁ、書けば書くほどよくわからない蛾の話。。

とにかく部屋の中にむき出しの電球をぶら下げ、そこに集まる無数の蛾を研究したり、蛾が飛び交う部屋でブレイクダンスの練習をしたり、とにかくやばそうな雰囲気が漂う方のようです。個人的にすごく気になりますし、特にラオスはまだ行ったことがない国の一つですので、機会があればお会いしてみたいですね。首都ヴィエンチャンから車で7-8時間かかる山奥のようなので非常に厳しいですが。。

「漆器に活かす」

とまぁ、散らかった虫展の感想になってしまっていますが、漆器店のブログですので、漆器に落とし込まなければ笑

でも今回虫展を通し、素直に感じたことは「綺麗だな」ということ。作品の一つに「キレイとゾゾゾの覗き穴」という万華鏡の作品がありまして、覗き込むと虫の足や毛などゾゾっとするような感覚に陥るのですが、万華鏡を回すと昆虫が持つ黄色や緑などの色あざやかな体と光沢の美しさが表現されていました。

漆器の技法にも、「玉虫塗り」という色味がありまして、艶やかに照り返す発色と光沢が特徴の塗り方です。発祥は仙台と言われています。タマムシの羽のような光沢で非常にきれいな塗り方です。

モンシロチョウの白やカブトムシの茶など、ただの色では表現できない艶やかな光沢ある色味や、少し粉っぽい色。これらは漆器を彩る色味には展開できるのではないかと思います。タマムシ塗りも虫の持つ艶やかさから「こういった色が出せればな、、、」という発想から生まれた商品だと思います。

虫と聞くとあまりいい印象を持ちませんが、虫の持つ艶やかな光沢と色味を生かした塗り漆器、、まだまだ多くのバリエーションが作れそうだなと思った展示会でした。