店長ブログ

新型コロナウィルスと漆器業界

こんにちは、山家漆器店 店長の山家優一です。

今年2月頃から中国武漢地区を中心(と言われている)に拡大の一途をたどる新型コロナウィルスですが、日本各地でも陽性反応の疾患者やそれに伴う死者が出るなど非常に大きな問題に発展していますね。

ニュースでもよく聞くかと思いますが、我々が位置するここ和歌山でも多くの疾患者が出ており、飲食店や宿泊業を中心に街や商売も少しおとなしい印象を受けます。

日本だけでなくイタリアをはじめとするヨーロッパ、東南アジア、またアメリカなど世界各地で広がりを見せる今回のウィルス。。早いことパンデミックが収まり終息を願うばかりです。

個人的にできることは予防と不要不急の外出を控えることや、ただ回せるところは飲食店などを積極的に利用し少しでも地元経済に貢献することであることかなと思います。

さて、そんなコロナウィルスですが、やはり我々漆器業界においても少なからず影響が出てきております。。

卒業式

まずは報道でもあるように学校の卒業式が中止や延期になっていますので、そちらの関係で賞状を入れるお盆である賞状盆(表彰盆)のご依頼が例年に比べて少ないです。

1月~2月にかけてお問い合わせ・お見積りさせていただいていました案件もいくつかキャンセルとなりましたし、各地で影響が出ているものと思われます。

我々のオーダーは良いのですが、思い出の詰まった6年間、3年間、はたまた2年間、4年間という大切な仲間との最後の一大イベントをこうした形で開催できないことは、何より卒業生の皆様が一番悔しい思いをしていることだと思います。

またそれに伴って卒業旅行も取りやめたというお話も聞きます。個人的に大学の卒業旅行はグアムに行けましたが、ちょうど高校の修学旅行先がシンガポールの予定だったのですが、当時ちょうどSARS(サーズ)が流行しており、修学旅行先が国内の北海道に変更になったことを昨日のことのように思い出されます。

輸入

木工品や素材などが中国やベトナムなどの各国で製造しているものがございます。国産で賄えるものもあれば、賄えないものもあるからです。

その素材の輸入が大幅に遅れたり、未だに工場が稼働していないところもあると聞いており、まだまだ影響が出るかと思います。

中にはこれを機に国外供給を改めて国内に切り替えようという業者様も出てきているようです。

我々は一部木製品の素地を国内業者様を通じて中国から仕入れを行っていますが、2月末に入る予定の商品がまだ入ってきていません。。。

国内イベントの記念品

国内イベント、主に国際フォーラムのような外国の要人を招いての会議の記念品として我々の業界への問い合わせがあるのですが、こちらも3-4月頃に開催予定だったものが軒並み延期もしくは中止となりました。

ちょうど自粛ムードがまだ出る前で日本全体でどうしようか、と各自判断していたころはまだ一応のお見積りがありましたが、一気に自粛ムードになった途端に全て白紙になりました。

日本としてはオリンピックも控える2020年。また訪日客も50%以上減っているというニュースも観ましたし、今後さらに加速するのではないかと考えられます。オリンピックは少し延期ムードになってきている昨今ですが、、果たしてどうなることやら、、。当社は参画しておりませんが、各伝統工芸品×東京五輪のオリジナル商品などもすでに生産に入っていることかと思いますので、それらも少し心配ですね。

叙勲祝い

日本では各界の功労者に対して毎年春と秋に授与される春秋叙勲というものが毎年あり、叙勲の受賞祝いのお返しとして漆器製品をお選びいただけることが多々あります。我々も叙勲祝いの商品を製造・企画していますが今年は非常に少ないように感じられます。叙勲自体今年あるのかどうか、、というお話もありますし、あったとしてもコロナウィルスが長引けば授賞式なども開催されるかわからない中で、まだまだ影響が出るのではないかと考えています。

越境EC

最後は越境EC、すなわち国外からの直接のオーダーです。当社の場合はネット以外の国外業者様を通じた国外への商品展開と直接の国外商社様を通じたOEM案件もございますが、そんなに頻度は多くないのであまりデータ取りができないのでここでは記述しませんが、越境ECという国外からの直接のネットショップからの購入はがくっと減りました。

特にヨーロッパ各地でアジア人に対するコロナウィルスに関する風評被害ということを耳にした当たりから特に注文がストップしている状況となります。

正直売上としてはそんなに大きくはないのですが、中国の方を中心とする国外での売り上げが非常に高い会社が今回どれだけの被害が出ているか容易に想像ができる結果がこの越境ECでの売上減少でわかります。。コロナウィルスが終息した際に、お客様がどれだけ戻ってきてくれるかわかりませんが、より十分に安心して購入いただけるためにしっかりと準備していきたいと考えています。

最後に

さて、今回はちょっと時事ネタを交えて新型コロナウィルスと漆器業界というお話をさせていただきました。

日頃漆器と無縁の方にとっては「なるほど」と思われたこともあったかと思いますし、同業の方からは「わかる」という声が上がっているのではないかと思います。

すぐに何ができるということもございませんが、無事できるだけ早く終息してもらい、安心して暮らせる世の中に戻ってほしいと思います。

皆さまも感染に気を付けながら、日々過ごしてくださいね!