店長ブログ

うるし塗り椀と敷板のお披露目

こんにちは、山家漆器店の店長、山家優一です。

さて、たまにブログでも告知させていただいておりました、海南市の後継者育成事業にて、従来の伝統的な漆器製作の方法を学ぶ取り組みを3年かけて行っておりました。

またお椀や敷板への塗り作業を行うだけでなく、漆塗り作業に欠かせない前作業としてのヘラ作成から刷毛の扱い方まで、現在の紀州漆器の多くの製造工程では失ってしまった作業まで、師匠である「沖見龍二」先生にご教授いただきました。

本当に苦労の連続で、この事業に参加した4人は毎週のように仕事終わりに集まっては本漆塗りの難しさに悪戦苦闘。。。まず何より準備が大変なことと、仕上げ作業まできた際の、乾燥方法などの手間、そして下地作業がうまくいっていないことによる上塗りの汚さなど、時代を経てある意味で簡素に作ることができるようになった分、失った技術というものを肌で体感することができたことが非常に大きな学びとなりました。

後継者育成事業

漆を漉します。濾紙は10枚以上にもなる濾紙を使用します。

後継者育成事業

つく棒をお椀につけて外側を朱色で中塗及び上塗りをしているところ。

ベンガラの朱が素敵です。

本漆に挑戦残った漆には空気が入らないようにラップなどをします。

高級で貴重な漆ですので、少しも無駄にせずに使わなければ!

 

、、とこのような作業を毎週毎週行っておりました。

我々は合成漆器と分類されるもう少しお手頃な製法などで商品を作ることが多いので、本漆塗りの作業のデリケートさと難しさ、そしてかかる時間を考えると、漆塗り商品はもっと値段が高くても良いなと心から感じました。

かつらぎ山房にて展示

そして3年の月日を経てようやくお披露目の機会をいただけました。

和歌山県かつらぎ町にあるかつらぎ山房さんで開催されていたイベントに沖見先生や関係者様のご好意で作品を置いていただくことができました。

こうして素敵なスペースをいただくことができ本当にありがたい限りです。

山家優一の作品

そして僕の作品はこちらです。

写真だと伝わりにくいのですが、細かなゴミなどは少し混入してしまったものの、沖見先生の手助けもあり、比較的満足なものに仕上がったと自負しております(誰も褒めてくれないので、自分で褒める笑)。

この漆器業界に携わる上で、伝統的な製法でつくる漆器製品を作ることは、必ずやってみたいと思っていたことですので、本当に大変でしたがこうしてお披露目までいくことができ本当にホッとしております。

また11月2日3日開催の第31回紀州漆器まつりでもお披露目の場所があるとか、ないとか??

せっかくなので、一人でも多くの方に僕の作品を見て頂けましたらと幸いです。